二人の岐路を私は何時までも眺めている


「誰かに依存することがとてもおそろしい」と言っている方がいた。私も誰かに依存していた過去がある。その人を失ってしまったら私もどうなるのかわからないと思っていたのだ。だがしかし、私は変わらなかった。狂うこともなかったし、死ぬこともなかったのだ。その人は死んだわけではない。ただ私と別れただけだった。

私と距離が出来てしまったその人は私の中で存在が大きくなっていっただろうか。確かに、一時期は存在が圧倒的に迫ってくることはあったな。だが、それも過ぎ行く時間の渦に埋もれてしまい、現在は時々僅かな痛みとともに思い出すことはあっても、私の中では完全に過去の出来事、過去の遺物となってしまったようだ。

私は冷たい人間なのか。それとも「忘れて」と言ってきた相手にとって望む通りの優しい人間なのか。私にはわからない。それを問うても相手は決して答えてはくれぬのだから。

私の目の前に続く線路は君に辿り着くはずだった。いつか逢いたいと思っていたんだよ。君に。そして、君も逢いたいと思っていてくれた筈だ。だが、私たちの線路は分かれてしまった。私がどんなに望んでも、君は私を永久に拒否してしまったのだ。それもすべて私が愚かだった為に。