私は此処だよ


4年程前の事だろうか。ある女性が「あざとい文章が嫌いだ」と言っていた。書き手の心理が丸見えになっている、つまりは投げやりな文章のようなものが彼女にとっては嫌いな文章だったようだ。そして、彼女は私の書く物を好きだと言ってくれた。私は自分の書く物は彼女に好かれないのではないかと危惧していたのだが、考えてみれば、私は投げやりな物は書いていなかったなと思ったのだよ。文章は上手くないし、書かれている内容も読み手が求めているようなものを書いているとも思っていなかった。だがしかし、私は常に自分にとっての一番読みたいと思う物を書いてきたつもりだ。何年経っても自分が「面白い」と思える物を、だ。


私が書く物に、等身大の私の姿を見てくれた彼女は、別の場所で書いているこの私もまた好きになってくれるかもしれないと思っているよ。あの頃、彼女に読まれていると思っていたからこそ私は書き続けられた。今はもうその名前では書いてはいないが、私は此処に居る。たとえ彼女が此処を読んでいないとしても、それでも私は変わらぬ私で在りたいと思っている。


私に書く力を与えてくれたのはその彼女だけではない。他にも何人か居る。メール交換をしたそのメールを定期的に読み返しては、懐かしい過去を思い出し、私はこうやってまた書き出すのだ。