届かない声

その人は言った。無視されるのが一番辛いのだ、と。夢に死んだ母親が出てきて、死んだ母親と幽霊でもいいから会って話したいと思っていたその人は声の限り母親を呼んだ。だが、声は届かない。その人は、まるで自分の方が幽霊のようだと思ったそうだ。目覚めて声を殺して泣いたのだ、と。