会いたいと思う相手とは決して会うことはない

「敬愛する人に会ってみたい」と書いている方がいた。その気持ちは実の所あまりわからない。こんな私であっても過去に何人か「会わないか」と言われたこともあるのだが、ほとんど会うことはなかった。それでも一人だけ、死ぬまでに一度は会ってみたいと思える人物がいる。だが、気軽に会える人ではないので、それこそ、余命宣告でも受けない限りは積極的に自分から会うために動くということもないだろう。そして、余命宣告を受けるということは、なかなか自身が動くということもできない状況なのではないかとも思う。なので、恐らく、私はその会いたいと思う相手とは決して会うことはないのだろうな。

 

これは単なる考え方の相違でしかなく、行動力のある者が会いたい人に会いにいき、行動的ではない人間が会いに行かないというだけのことに過ぎないのだがな。誘われないことで病むというのはどうかと私なら思うよ。これは昔、友人だった人に言われたことなのだが、とある場所にどうしても行けないという私に対して、どうしても行きたいというなら何としても行こうとするはず。それができないということはそんなにそこに行きたいというわけではないと言われたことがある。その時は私も若かったので、行けない私が悪いのかと思ったのだが、今思うに、私は対人だけでなく場所に対しても何らかの恐怖症のようなものがあり、どうしても駄目なものは駄目なんだなと思えるようになった。それまでは無理を押して何とか行動しようとしていたのだが、そのせいで具合を悪くして後悔するということを繰り返していて、これは精神病なのかもしれないと思えるようになってからは少しは楽になったようだ。

 

つまり、私もまたこんな欠陥のある人間であっても傍にいてくださる方をずっと大切にしていけばいいのだなと。そんな風に思えるようになったことは僥倖なのかもしれない。そんな今の私には一人だけこんな私の性質を理解してくれる人がいる。それだけが救いでもある。