その場所には美声が響くことだろう


「Fragments 彼岸で逢おう」を読んで。


抱きしめたくても腕はなく、語りたくても唇はなく、だけども一瞬にしてわかる、すべては何だったのか。そのとき初めて、哀しみも、哀しみであったがゆえに、うつくしい意味をもつ。


何だったかな。「彼岸」という言葉を知人は別の言い方をしていたが。知人はここぞという別れの時にその言葉で別れを告げた。それは過去に望まぬ別れをした相手と、此処では無い何処か別の場所で出逢いたいという強い願いだったのだろう。それは贖罪。許されたいという想い。身勝手な想いだが、私は知人が許されるであろうその場所に辿り着ければ良いなと思っている。その様に誰かに何かに許されたいと思っている方に、私の最も好む歌を捧げる。