絶望という名の風が吹く

昔を思い出すような出来事があり、少しナーバスな気持ちでとある日記を読んだ。昔、こんな私と仲良くしてくれていたその人は、壮絶な人生を歩んできた人で、今は心優しい人と幸せに暮らしている。ある歌をきっかけに昔を思い出すことはその人だけじゃない。私にもそういう歌は何曲もある。その人は今のほうがいいという感じだが、私は不幸だった昔の方が実は幸せだったのではないかと思うようになった。勿論、昔のその不幸な時には絶対に戻りたくない。戻りたくないんだが、それでも私にはあの頃の方が今より幸せだったと思うのだ。矛盾してるよな。その精神状態はいったい何なのか、私にはわからない。死んでしまおうと思いつめたこともあるそんな過去だったのに。ただ、今はあの頃の自殺願望よりももっと「ちょっといってくる」といった感じで死んでしまいそうな気がしている。少しづつ、生への渇望が薄れてきている。それだけ年を取ってしまったということなのか。空虚な心を覗いてみてもそこにはただ見えない風が吹いているだけなのだ。